長野にはそっくりの菓子が2つ。パクリなのか?/カレー沢薫の「ひきこもりグルメ紀行」(女子SPA!)

【カレー沢薫の「ひきこもりグルメ紀行」Vol.23 長野県「サラバンド(と雷鳥の里)」】

 今回のテーマ食品は、類似菓子2品である。

 前にも、萩の月とその愉快な仲間たちを紹介した。

 萩の月にとっては全然愉快じゃないし仲間とも思ってないとは思うが、人間が「口に入れても死なないもの」という縛りで作れば、偶然似たものが出来てしまうのも仕方ないのかもしれない。

 だが世の中には、どう見ても他人とは思えない似方をしている奴がいる。今回はそんな菓子、二品である。

◆「レトロエレガント」なパッケージの菓子、サラバンド

 まず一品目は「サラバンド」だ。これは見た瞬間「ブルボンっぽい」と思った。

 菓子を菓子で例えるというのは、サバに「エラがあるところがサンマに似ている」というぐらい頭が悪いが、そう思ってしまったのだから仕方がない。

 一言で言うと「レトロエレガント」なパッケージ。派手さはないが上品で、良い意味で古い。サラバンド自体は初見でも「懐かしい」と言ってしまいそうな佇(たたず)まいである。

「サラバンド」がどういうものかというと、小麦粉、卵、砂糖を練って薄く焼いたものに、クリームを二層に渡って挟み込んだ菓子のことである。

 つまり「絶対うまいやつ」だ。

◆5層で食べた時の食感がすごく良い

 実際、香ばしい焼き菓子部分も甘いクリーム部分もうまい。

 さらにクリームを2層にしているため、焼き菓子部分と合わせて5層だ。一瞬「クリームが二層だから焼き菓子も二層で合わせて4層」と書いてさらに馬鹿を露呈しそうになったが、声に出して指差し確認した結果、間違いなく5層であった。

 別に数が多くて得だ、とはしゃいでいるわけではない。こうすることによりサラバンドは食べた時の食感がすごく良いのである。

 厚みが結構あるので「堅い菓子では」と20代で入れ歯になりかけた私は一瞬危惧したが、薄い焼き菓子とクリームの層でできているから難なくサクサクと食べられる。

 パッケージどおり、地味ながらも確実なうまさがあり、飽きない。リピート率が高そうだ。

 実際サラバンドはすでに40年以上続くロングセラー菓子となっている。

 ちなみに「サラバンド」という名前は、メーカーである小宮山製菓の、2015年から更新されていない大変親近感が湧くブログによると「スペインの舞曲」からとったそうである。

 つまり、サラバンドは間違いなく長く愛されてきた菓子なわけだが、それに酷似している菓子があるという。

◆同じ長野県の隣市で作られている「雷鳥の里」

 それが二品目「雷鳥の里」だ。

 多少、幅や厚さなどは違うが、洋風せんべいにクリームが二層、という形態は全く同じだ。

 味に関しては、いよいよ差がわからない。私の舌が馬鹿だとしても、同じに思える。

 普通に考えると、製造が先のサラバンドを雷鳥の里が真似た。と思えるが、問題はサラバンドの小宮山製菓は長野県安曇野市で、雷鳥の里の田中屋は長野県大町市、つまり隣市だ。

 至近距離過ぎる。

 パクると言ったら聞こえが悪いので「参考にした」と言わせてもらうが、先方に無断で参考にする場合は、できたら参考にしたことがバレないようにしたいものである。

 よって参考にするにしても自分から遠いものを参考にするだろう。少なくとも隣の奴を参考にはしない。

 つまりこの両者は関連商品の可能性がある。

◆観光客向け土産物と一般家庭用で住み分けは出来ているよう

 疑問があっても直接聞かないことに定評がある当コラムだが、今回は担当がサラバンドの小宮山製菓に直接問い合わせてみたようだ。以下がその返答である。

「販売先が違うもので……いろいろありまして……ふふ」

 どうやら、あまり追求しない方が良い話のようだ。長野県には沈める海はないが埋める山は豊富にある。

 とにかく関係はあるようだが、ならば余計、似たような菓子を至近距離で作ってどうする。セブソの隣にローソソ(※編集部注:セブンイレブンとローソンのこと。筆者独自の表記です)を建ててもつぶし合いにしかならないだろうと思うかもしれないが、雷鳥の里はその名前やパッケージからして、明らかに観光客向け土産物だが、サラバンドは一目見て「ブルボン」と思ったように、一般家庭用のようなので、同じ菓子でも住み分けはきちんと出来ているようである。

 値段は雷鳥の里の方が割高のようだが、土産というのは「ここに行った」と証拠代がかかっているので仕方ないのだ。

<文・イラスト/カレー沢薫>

【カレー沢薫(かれーざわ・かおる)】

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